競馬にかかる税金の仕組みとは? 一時所得の内容を解説

競馬ファンにとって高額の払戻金を手にするのは一種の目標でもあります。自分の予想が的中したときの達成感は何よりもうれしいものです。特に穴馬を狙って的中させた場合、オッズも高くなるので本命馬券よりも嬉しさが倍増することでしょう。ただし、収入が多くなった払戻金は税金として申告する必要性もあります。ここでは競馬の収入における税金の仕組みをみていきましょう。

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競馬は国に収めるお金が多い

競馬は国に収めるお金が多くなっています。主催するJRA(日本中央競馬協会)が特殊法人で政府の100%出資からなり、管轄が農林水産省ということもあって税金で動いている組織ということでもあるから致し方ないともいえます。

公営競技といえどギャンブルですから、競馬なら馬券、競艇なら舟券、競輪・オートレースなら車券を購入しないと配当(払戻金)を手にすることができません。この中で競馬の馬券(勝馬投票券)には10%の国庫納付金が充てられています。

国庫納付金とはJRAが国に収めているお金で勝馬投票券の他にJRAの年間利益からも半分が納付されています。馬券を多く購入する人ほどJRAの売上に貢献しているので、より一層国にも財源を納付しています。

馬券を買うことですでに納付していますので、これも税金と呼ぶべきでしょう。さらに的中した馬券の払戻金にまで税金がかかってしまうのです。払戻金に係る税金は一時所得となり、国に徴収されてしまいます。

競馬ファンは国庫納付金と所得税を納めている

国庫納付金と所得税という2つの税金を納めているのにも関わらず、二重課税にならないのはおかしいといえますが、そもそもなかなか的中しないというジレンマがある的中馬券の払戻金に税金が発生すること自体おかしな話です。

JRAの売上となる勝馬投票券の国庫納付金は別として、払戻金に一方的な課税をされるのはたまったものではありません。この払戻金は税務署から一時的な臨時収入と見なされ、一時所得として確定申告が必要になります。

一時所得とは

一時所得とは競馬の払戻金のように、継続した収益ではなく、一時的な臨時収入を得たことによる所得のことを指します。一般的なサラリーマンは毎月会社から給料をもらっていますが、これは給与所得となります。一時所得は公営競技全体の払戻金、テレビ番組や雑誌の懸賞金、落し物の謝礼金、生命保険の満期保険金などがあり、同年で得た収入すべてを合計していきます。

よく混同されやすい雑所得とは副業などの継続した利益を得ていることを指し、競馬の払戻金でいうなら継続して利益を出す仕組みを作って投資的な馬券ライフを送っていることとなります。

投資的馬券というと事業として競馬の馬券を購入している場合になりますが、主にパソコンのソフトを活用しているケースといえます。ソフトウェアを利用してオッズとデータから予想を反映し、馬券を自動購入して払戻金があればまたいくらかの取り分を残して次のレースに上乗せして購入に回すなど、これら投資・回収を自動的に行っています。

こうなると、本人の意図とは裏腹にいつの間にか大きいオッズを的中していることもありますし、競馬はギャンブルですし馬が走りますから思わぬ大駆けもあるので、万馬券を的中したときには100~1,000万円ほどの利益を出すのはシステム上で可能です。もちろん、利益が上がらずに負け続ければそれだけ大きな損失となりますが…。

一時所得の計算方法

競馬や競輪などの払戻金に関わらず、一時所得は総収入から経費を差し引いて特別控除をした金額の半分が課税対象額となります。よく分からないという人も多いのですが、まず総収入という点では、払戻金の総額になります。年間ですので、1月から12月までに得た利益を計算しなくてはなりません。中央競馬でいうところの金杯から有馬記念(もしくはホープフルS)の開催週です。

一時所得の特別控除額は50万円となっており、この金額以下なら確定申告の必要はありません。「50万円も勝つのは無理ではないのか」と憂う競馬ファンの方もいるでしょうが、即PATで毎週レースを購入している競馬ファンなら不可能でもありません。

一時所得={年間の総収入(払戻金)-それに係る経費-50万円(特別控除)}×1/2

競馬の払戻金での計算方法

12か月間(52週)の土日にレースが行われ、3場同時開催もあり、中には3日間開催する場合もあります。JRAでは年間約3,300レース以上が行われており、回収率は度外視して的中率のみでみると、10レース中の馬券で1回的中させるのはそれほど難しいとは思わない人もいるでしょう。購入レース数や金額は除外して考えると、実際に1日に1回当てるだけなので何とかなりそうと思えます。

分かりやすいように52週で2日間の約3,300レースを1000円ずつ購入すると、330万円の投資金額になります。この内1日に1レースずつ的中すると、年間3,300レース中104レース的中となり、的中率は3%。これは赤字が間違いありません。

では的中した1レースの払戻金が10,000円だったらどうでしょうか。各レースで100円×10点買いの予想で、年間的中した104レースですべての払戻金が10,000円とした場合、合計では104万円の払戻金になります。一見多く感じますが、投資金額の合計は330万円なので回収率も31%とやはり赤字確定です。

年間レース数:3,300レース

的中レース数:104レース

1レースあたりの馬券購入金額:1,000円

的中した馬券の投票金額1点:100円

払戻金:10,000円

年間馬券購入金額:3,300×1,000=330万円

年間払戻金額:104×10,000=104万円

104-330=△226万円

結果226万円の赤字となってしまいました。

「やっぱり今年も大負けになったか…」と有馬記念の後に嘆いても始まりませんが、実はもっと嘆くのはその後になります。

的中した馬券の購入額は経費にならない

税務署からすると、的中した払戻金の104万円は特別控除額の50万円を上回っているので課税対象額となり確定申告の必要があります。まあ、馬券を購入したのは必要経費になるからいいか、と軽く考えている人は注意しなくてはなりません。

あくまでも馬券購入費が経費になるのは的中した馬券にかかる購入金額のみです。「えっ! 330万円も馬券を買ったのに?」「外れ馬券の226万円は経費にならないの?」このように嘆く人が後をたちません。

競馬では的中した馬券以外の外れ馬券は経費にすることができませんので注意するようにしましょう。

一時所得で支払う税金の金額

一時所得でどれくらいの金額を納付しなくてはならないのでしょうか。先の例を元にまずは的中した馬券に係る経費を算出していきます。

1レース1,000円の投票金額で1点×10点買いの中から、的中した1点の買い目のオッズが100倍とします。年間的中レース数が104レースとなるので、払戻金に係る投票金額は合計で10,400円となります。

年間で的中した投票金額:1点100円×104レース=10,400円

実は経費となるのはこの10,400円のみでなり、残りの約329万円は必要経費として認められません。経費が10,400円となると、控除後の課税対象額は265,000円となります。

{年間総収入(104万円)-経費(10,400円)-特別控除(50万円)}×1/2=264,800円

所得税率は195万円以下が5%となり、平成25年からは所得税の2.1%という復興特別所得税が付加されるので、支払う所得税は13,500円となります。

ただ馬券で負け続けて200万円以上もマイナスなのに、なぜか1万円もの税金を徴収されてしまうのは何とも言い難い話といえるでしょう。

まとめ

競馬は国に収めるお金が多くあり、馬券購入時には国庫納付金が10%徴収されています。競馬に関わらず公営ギャンブルのすべての払戻金が一時所得の課税対象になる可能性があります。

一時所得は競馬の払戻金のような、臨時に得た収入のことを指し、的中した馬券のみが経費となります。それによって、年間の収支でマイナスとなっても払戻金の累計で50万円を超えた場合は手元に残るお金が赤字なのに、税金のみを支払うという本末転倒な結末が待っている可能性があります。

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