20歳以上なら学生も馬券購入可能! 詳しく知りたい競馬にかかる税金の計算方法

競馬・税金

馬券を購入できるのは20歳以上というのは多くの方が知っているでしょうが、学生の場合はどうなるでしょうか。2005年の競馬法改正によって学生であっても20歳以上なら馬券を購入できるようになりました。これを受けて多くの学生が競馬場に足を運んで馬券を楽しんでいますが、まだまだ社会人ではないので税金のことを知らない人が多くいます。ここでは学生の方にも分かるように競馬の税金について解説していきます。

若い世代が増えたものの税金のことを知らない学生が多い

競馬場には多くの若い世代が訪れています。友人や家族、仕事仲間、恋人などさまざまです。競馬はアイドルホースのオグリキャップに始まり、近代競馬の結晶で社会現象にもなったディープインパクトのような名馬とともにさまざまな世代に注目が集まるようになっていきました。

近年ではテレビCMでも若い俳優を起用してサークル仲間が楽しんでいる演出をしていますので、競馬を知らなかった若い学生たちが気楽に始められる競馬の魅力をアピールしています。

そんな学生たちの中ではほとんど社会人としても未熟ですので、税金の知識を持っていない人は多くいます。競馬にはどのような税金がかかるのかみていきましょう。

競馬にかかる税金

馬券(勝馬投票券)を購入すると、その内10%が国庫納付金として国に納められます。また15%がJRAの運営費に充てられています。残りの75%が払戻金に充てられているのです。

この国庫納付金の名目上は税金ではないことになっていますが、実際に国が使うお金なので税金といってしまっても過言ではありません。購入するときに10%を取られるのは消費税に似たようなイメージです。

では払戻金はどうでしょうか。払戻金はレース確定後のオッズから算出されており、その受け取る金額は利益と見なされるので学生のかたであっても所得となります。この所得に課される税金を所得税といいます。

所得税の種類

所得税は10種類に分かれており、以下の通りになります。

1.利子所得…預貯金や公社債(国債など)の利子、合同運用信託(信託銀行などに預けて資産運用をする)などの収益

2.配当所得…株主が企業から受ける配当など

3.不動産所得…土地や建物の不動産にかかる所得

4.事業所得…個人事業主など、事業で得た収入にかかる所得

5.給与所得…勤めている会社からの給料や賞与の所得

6.退職所得…退職金などの所得

7.山林所得…山林を伐採して売却して得た所得

8.譲渡所得…資産を譲渡して得た所得

9.一時所得…1~8に該当しない臨時的な収入にかかわる所得

10.雑所得…上記1~9までに該当しない所得

これらの内、学生の方で多く関連するのがアルバイトで得た給与に関わる給与所得といえます。そして競馬の払戻金に課税されるのが一時所得になります。「働いていないのにどれくらい税金を納めないといけないの?」と心配される方もいるでしょう。

そこで一時所得の計算方法をみていきましょう。

競馬にかかる一時所得の計算方法

払戻金が年間で50万円以上となった場合、確定申告の必要があります。確定申告とは国に納める税金を税務署に報告するようなものです。これは競馬だけでなく、競輪・競艇・オートレースといった公営ギャンブルすべての払戻金に当たります。ここで一つ注意したいのが、年間の合計ということです。1月から12月までに得た収入をすべて把握しなければなりません。

この50万円というのは一時所得の特別控除額からきており、年間払戻金の合計が50万円以下なら税金を支払わなくても済みます。そして経費となるのが実際に的中した馬券の点数のみとなり、1枚の馬券でBOX買いや流し馬券を購入していても、的中した馬(枠)番の点数しか対象となりません。したがってほとんど経費ができず、多額の払戻金を得た場合は控除できる金額が少なくなります。

100万円を的中した場合の金額例

では実際に分かりやすい金額で例をみていきます。

毎週競馬をしている学生のかたで東西のメーンレースのみ馬券を購入していると仮定します。

・年間52週×東西2レース×土日分=208レース

・1月最初のレースで大万馬券が的中して1,000円の投票金額に対し、払戻金が100万円

・そこから馬券購入金額を5倍に増やして残りの207レースを5,000円で購入

・一度も的中せずに12月最終週を迎える

最初に100万円的中させて、そこから購入金額を5倍にするも、全く当たらずに12月を終えます。結局最初のみ的中しているので少し極端ですが、計算上分かりやすくしたのでご了承ください。

まとめますと、

・年間払戻金額:100万円(1レース)

・的中馬券の購入金額:1,000円(1レース)

・年間外れ馬券:5,000円×207レース=103万5,000円

・手元に残る金額:100万円ー1,035,000円=ー35,000円となります。

最後まで5,000円で購入するとマイナス収支となり、赤字になるのが分かります。

ではこちらを一時所得の計算式でみていきます。

{(年間払戻金額100万円-経費となる的中馬券購入金額1,000円-年間控除額50万円)×1/2}=一時所得249,500円

この一時所得が納付する税金ではありません。これに一時所得の税率を掛けます。所得税の税率は7段階に分かれており、所得が1,000円から195万円未満は5%で控除額は0円です。

納付する所得税=249,500円×0.05=12,475円

ここで多くの学生さんが「?」となったのではないでしょうか。手元に残るお金がマイナスになっているのに、なぜ税金が取られるのか、納得いかないことでしょう。

実際に財布から減るお金を見ると、最初の投票金額が1,000円+マイナスになった35,000円+納税額12,475円でトータル48,475円の出費となってしまいました。

馬券でマイナスになっても納税しなければならない

ここまでみて一時所得がいかに税金を支払うようになっているのかが分かります。このからくりは経費となる馬券購入金額にあります。実際の経費は的中した馬券購入費の1,000円のみとなっています。

とはいえ、最初の1レースは1,000円で購入しているのだから、基本的には毎週のレースを1,000円ずつで買う予定だったといえるでしょう。

最初のレースで100万円もの大金を手にしたので、お金に余裕が出たことから購入金額を増やしています。ということは、残りの207レースは本来なら1,000円ずつ購入して27万円程度の出費になっていたはずです。この100万円があったからこそ、残りのレースに投票した金額が増えたので、外れ馬券も経費に含めるべきともいえます。

しかし、国税局では馬券に係る払戻金について一時所得の経費となるのは的中した馬券のみと明記しているので、外れ馬券は経費になりません。払戻金を手にした分で次のレースから投票金額を上乗せしてもそれは自己責任となっています。

雑所得なら課税されないがハードルはかなり高い

一時所得が臨時収入なのに対し、雑所得という区分があります。これはサラリーマンの副業など、先述した1~9までの所得に分類されない事業の所得を指しています。継続した事業性のある馬券購入なら雑所得として外れ馬券も経費にすることができます。

今回のケースでみると、外れ馬券が利益となった100万円を超えているので所得税がかかりません。これなら雑所得で申告したほうがお得なのではないかといえますが、実際に競馬ソフトを使用しているような継続性のある事業として成り立っていないといけません。そもそも、今回のように赤字になるようでは利益が出ていませんので継続性のある事業とはいえないでしょう。

しかも、税務署が基本的に外れ馬券を経費に認めませんので、国税局と裁判になるケースが見受けられますからハードルがかなり高いともいえます。

確定申告しないとバレない?

確定申告しなければいいのでは?と思う学生さんもいるでしょう。実際に数万円程度の納付ならバレないともいえます。これは税務署も限られた人員で動いているので、すべての納税者を把握するのは到底困難な作業だからです。

大きな徴収額となっている個人や法人に集中していますので、競馬の払戻金がもっと高くならない限りバレないでしょう。特に即PAT以外の競馬場やウインズで馬券を購入している人は身分証もいらないのでバレる心配がかなり減ります。

しかし、絶対に調査されないかといえばそうではありません。何らかの形で調べられると未納ということになって追加で税金を納める必要がでてきます。

また、高額の馬券を的中したらつい嬉しくなってSNSに投稿する人もいます。これはバレやすいので注意したほうが無難です。

万が一バレたら怖いですし、納税は国民の義務ですので、馬券で利益がでたらノートに控えておいて確定申告をすることを心がけましょう。

まとめ

馬券は20歳以上なら学生でも気軽に始められますが、競馬には払戻金に税金がかかります。学生の間は納税する機会も少ないのであまり税金の知識が少ないともいえます。競馬では100円の馬券が高額の払戻金となる可能性があり、50万円を超えたら一時所得として確定申告をしなければなりません。

軽費となるのは的中した馬券のみですので、収支がマイナスとなっても税金を支払わなくてはならないケースもありますので注意が必要です。納税は国民の義務ですので、一時所得の計算方法をしっかりと覚えておいて競馬ライフを満喫するようにしましょう。