競馬にいくら税金がかかるのか? 一時所得の計算方法とは

競馬・税金

競馬に一時所得という税金がかかるのは知っていても、どのくらい税金が必要になるのかまでは分からない人もいることでしょう。そもそも娯楽で楽しんでいる競馬に一時所得が入ること自体がおかしなことですが、国で決められた法律なので従わないと追加の課税徴収を受ける羽目になってしまいます。そこで競馬にかかる税金の計算方法をここで紹介していきます。

競馬にかかる税金の種類

競馬や競輪、競艇、オートレースといった公営ギャンブルには、すべて払戻金における利益について、例外なく一時所得として申告する義務が生じます。申告とは年間所得があったことを税務署に確定申告することを指します。

払戻金は本命や大穴といったオッズはもちろんのこと、単勝や馬連、3連単などの券種に関わらず、確定した払戻金額すべてが一時所得となってしまいます。

「例外なく」と先述しましたが、これは競馬を趣味レベルで楽しむ一般の競馬ファンのことであり、事業として競馬に投資している場合を除きます。競馬を継続した事業としている人はその利益を雑所得として扱われ、外れ馬券も経費として計上できる可能性があります。

雑所得の可能性があるとしたのは、一時所得との兼ね合いを判断するのがあくまでも税務署だからです。この雑所得か一時所得かで税金が大きく変化します。

一時所得と雑所得の違いはありますが、基本的に払戻金で受けた利益分は年間を通した学となり、1レース単位や月単位での収支のことではありません。

一時所得とは

 

一般的に一時所得には、通常の給与所得とは別の一時的な収入であり、継続でない所得に関することを指しています。一時所得の例として、クイズ番組に出場して賞金を得た場合や生命保険などの満期保険金、その他懸賞で得た金額も含みます。これらは確かに一時所得として納得できますが、競馬の場合も馬券の払戻金が一時所得の対象になってしまいます。

馬券を所得として考えている競馬ファンはいないでしょうが、国税庁のホームページにも馬券での収入は確定申告の必要性があると記載されているので、個人が頑張って税務署で否定してもどうにもなりません。しっかりと一時所得の計算方法を勉強するのがベストといえるでしょう。

一時所得の計算

一時所得として申告する場合をみていきましょう。まず一時所得には50万円の特別控除があります。単純に50万円を下回った場合は申告義務が生じません。的中した馬券にかかる購入費用は経費になりますので、馬券代を差し引きします。

課税対象額={払戻金(総収入額)-馬券代(収入に必要な経費)-50万円(特別控除)}/2

上記が馬券での一時所得の計算方法となります。一時所得とはいえ、50万円以上の払戻金を手にするのは稀でほとんどないという競馬ファンもいるでしょうが、ここでいう払戻金は年間の総収入となるので、1年間での累計払戻金額となります。

累計なら50万円くらいいきそうなものの、それ以上に馬券を購入しているから経費が収入を上回って申告の必要性がないと一般的な競馬ファンは感じるかもしれません。ただし、一時所得に関わる経費は馬券の場合、的中した馬券を購入した費用のみが認められています。

的中した馬券の購入費用のみ経費になる

たとえば元手3,000円を用意し、あるレースの馬連でオッズ10倍の組み合わせを的中したとします。このときに的中した馬連に購入した馬券代が1,000円で、他の3連複や3連単も同様に1,000円ずつ購入して総額3,000円の馬券購入金額になったものの、的中せずに外れ馬券になったとしましょう。

この場合、一時所得に総収入で累計される金額は1,000円×10倍の10,000円(実際の払戻金額)となります。では3連複や3連単で購入した馬券代はどうなるのかというと、これは収入を得るために要した費用とは認められず、経費は的中した馬連の1,000円のみとなってしまうのです。

払戻金を軍資金にすると経費にならない

1つのレースだとイメージしやすいですが、元手3,000円で馬券を購入した経緯は下記になります。

元手=3,000円、1レースの払戻金=10,000円、総額馬券購入費=3,000円、一時所得に関わる経費=1,000円、手元に残るお金=10,000円、収支=+7,000円

では、的中した払戻金の内で半分となる5,000円を次のレースの軍資金にした場合はどうなるでしょうか。この5,000円は本来なかったお金であり、前のレースの収入(一時所得の対象)から購入しているので経費になるだろうとイメージしてしまいがちです。

ただ、本来得ることのなかったお金だったとしても、ここでも5,000円の馬券購入代金の中で、的中した馬券の購入金額のみが経費となってしまうのです。この5,000円がすべて外れた場合、1円も経費にすることができません。

先のレースと合算すると、下記になります。

元手=3,000円、2レースの払戻金累計=10,000円、総額馬券購入費=8,000円、一時所得に関わる経費=1,000円、手元に残るお金=5,000円、収支=+2,000円

外れ馬券が増えるほど手元に残るお金は減っていきますが、必要経費は的中した馬券購入費の1,000円のみと変わりません。

さらに、まだ手元には5,000円の軍資金が残っているので、これを次のレースにすべて投入して外れ馬券となった場合をみていきます。

元手=3,000円、3レースの払戻金累計=10,000円、総額馬券購入費=13,000円、一時所得に関わる経費=1,000円、手元に残るお金=0円、収支=-3,000円

最初のレースで儲けた10,000円が次の2レースで無くなり、手元に残るお金が0円となってしまいました。収支では元手の3,000円が赤字となっています。ただ、回収率では76%と一般的には高確率な回収率ともいえるでしょう。それでも一時所得に関わる経費は1,000円のみとなってしまいます。「まあ、差し引きゼロになるし、特別控除が50万円もあるから申告しないでいいや」と考えている人は要注意です。

手元に残るお金が0円でも税金発生!

これを分かりやすく100回連続で同じ状況になったと仮定してみます。

100回分の元手=300,000円、100回分のレースの払戻金累計=1,000,000円、100回分の総額馬券購入費=1,300,000円、100回分の一時所得に関わる経費=100,000円、手元に残るお金=0円、収支=-300,000円

この金額で一時所得を計算してみます。

課税対象額={1,000,000円(払戻金)-100,000円(収入に必要な経費)-50万円(特別控除)}/2

このことから、課税対象額は20万円となってしまいます。この計算式をみて「えっ!」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。

手元に残るお金が0円なのはもちろんのこと、元手に用意した300,000円が外れ馬券として赤字になっています。これでは払える税金がありません。回収率が76%を超えて素晴らしい予想だったと胸を晴れるほど税金は生易しくないのが分かります。

この20万円は確定申告する必要があるので、赤字になろうが容赦なく税金の徴収となってしまいます。

さらに、一時所得は他の収入と合算しなければなりません。中央競馬だけでなく、地方競馬や競艇、競輪に関する払戻金も年間で合算する必要があります。どれも的中した券種の購入金額よりも外れた券種の累計金額が多いでしょうから、50万円を超えた場合は確定申告が必要であることを周知しておきましょう。

まとめ

競馬にかかる税金には一時所得と雑所得があり、一般的に馬券を楽しむ競馬ファンのほとんどが一時所得として払戻金を申告します。税金にいくら必要なのかというところでは、一時所得にかかる特別控除の50万円を目安にすればいいでしょう。

ただし、年間の累計金額が課税対象ですので、たまに大きな穴を的中した場合などは確定申告の義務が生じます。的中した馬券のみが経費として認められるので、外れ馬券は経費となりません。