競馬にかかる税金はおかしい? 二重課税になっている理由とは

競馬・税金

競馬にかかる税金がおかしいと憤りを感じている競馬ファンも少なくありません。宝くじの配当とは異なり、競馬の配当金には一時所得で申告義務があるのです。そもそも競馬を楽しむのに税金がかかるということを知らない人も多いといえます。そこで競馬の税金がおかしい件について解説していきましょう。

競馬は二重課税で悪質

いきなりの見出しで競馬をやらなければいいのではないかといわれそうですが、競馬をギャンブルとして始めても、いつのまにか贔屓の騎手やお気に入りの競争馬ができて、のめり込むようになるものです。一度はまってしまうとなかなか抜け出せない競馬の魅力は血統やレースの駆け引き、サラブレッドの美しさと人それぞれです。

しかし、中でも競馬場や場外馬券場で的中した払戻金を受け取って、100円が数分間でまたたくまに何倍にもなることを実感すれば、それだけで競馬に感動してファンになった人も多いのではないでしょうか。パチンコと違い短時間で高配当を稼ぐことのできる競馬は公営ギャンブルとして競艇や競輪、オートレースと比較しても人気が高く、注目度の高いスポーツとして成り立っています。

巨額の金が動くのに国が無視をするはずはない

特に中央競馬のG1レースになるとわずか1分から3分の間に数百億円が動きますから、これだけお金が動くと俄然スポーツ紙の一面やニュース番組でも取り上げられるなど、一様に注目されるものです。競馬はギャンブルですから、大元が損をしないようにオッズは計算されていますし、馬券を購入することで巨大企業ともいえるJRAの運営費もまかなえます。当然、何百億円もの規模に国が無視をするわけありません。国的には取れるところからは一杯税収をいただこうと考えるはずです。

この馬券を購入する費用(要は馬券代)にはJRAが国へ納めている国庫納付金という支出があります。国庫納付金は名目上で一般財源にあたり、畜産業界の振興と社会福祉事業に充てられます。農林水産省が管轄しているので畜産も分かりますが、2018年には約3千億円もの金額が国庫に収められています。ここまで大きな金額になると、そのすべてを把握するのは難しく、国の税金として何かに補てんされている可能性もあり得ます。

基本的に馬券購入費の75%が払戻金となり、残り25%が控除率とされて10%が国庫に入り、後はJRAの運営費となります。ただし、この10%の国庫納付金だけでなく、75%の払戻金にも税金がかかってきます。この払戻金に税金がかかるのはおかしいといえるでしょう。

払戻に税金がかかる

なぜ払い戻し金額に税金がかかるのはおかしいと言われているのかというと、それはそもそも競馬・オートレース・競輪・競艇などの公営ギャンブルでは馬券・車券・舟券購入時に税金がかかっているからです。

国庫納付金が税金かどうかという指摘もあるでしょうが、国に収めるお金は税金として扱っても間違いではありません。そこへ払戻金にも税金があるとなれば、まさに二重課税です。よく問題視される自動車の税金と似ています。車を購入して普段から乗っている方には頭が痛くなる自動車税・重量税・消費税はもちろん、給油のガソリンにかかる税金もあります。

ただ、自動車の場合は実際に購入(ガソリンを含む)したときに税金がかかりますが、払戻金の場合はレースの馬券を購入して納付し、そこから的中して払戻金を受け取るのに課税となるのです。一度自分が購入したものに追加で課税されるのは到底納得できないものといえるでしょう。これは競馬にかかわらず、公営ギャンブルのすべてにいえることです。

どこまでの払戻金で税金がかかるのか

払戻金の税金がいくらかかるのかというと、年間受取額が50万円以上とされています。この50万円がどこからきているかというと、一時所得の控除からです。「1レースに50万円なんてなかなか的中しないよ」と軽く考えている人も少なくありません。しかし、実際には年間の合計が50万円ということになりますので、ここに注意が必要です。

国税庁によると、払戻金を受け取った場合はノートに記録を取るように訴えています。これでも分かるように、払戻金は累計を合算するように考えられています。それも競馬だけでなく、公営ギャンブルはすべて一緒です。

ご丁寧に国税庁では払戻金の履歴を追えるように、計算用のエクセルシートも添付資料としてダウンロードできます。税金を確実に取ろうとする姿勢が見え見えといえるでしょう。払戻金には確定申告が必要と思いっきり打ち上げているのでつい心配になってしまうものです。

二重課税なら外れ馬券も経費(控除)対象にしてほしい

実際に馬券で払戻金を手にした場合には、このツキがあるうちに次のレースへとさらに上乗せして馬券を買いたいものです。馬券は的中率よりもいくら手にしたかという回収率がカギとなりますので、勝利した後のレースは勝負レースとして大きな配当を望むものでしょう。

しかし、当然ながら一度勝ったからといって次も勝てるほど競馬は甘くありません。多くの方が勝負レースと称して、払戻金を上乗せした馬券で失敗していることでしょう。そこで、国で決まった法律なら仕方がないと考えても、この外れ馬券が「経費になればいいのに」と考える人も少なくありません。

確かに、せっかく払戻金を手にしたのに、次のレースでほとんど失ってしまっては払える税金もなくなります。というよりも、元々は自分で手にした払戻金であり、前のレースで的中しなかったら馬券にしていなかったと考えてしまいます。

では外れ馬券は経費(控除)になるのかといえば、そうではありません。外れ馬券といよりも、馬券で経費になるのは的中した馬券にかかる購入費用のみです。

これだと税金だけ持っていかれるので損ではないかという声も聞こえそうです。ただ、国税庁は聞く耳を持っていませんから、一時所得において外れ馬券は経費にすることが基本的に不可能といえるでしょう。

国で決まった法律なら仕方がないと考えても、二重課税になるのなら外れ馬券くらいは経費にしてほしいところです。

宝くじとはちがうがパチンコは一緒

公営ギャンブルの払戻金に税金がかかるのは法律上で仕方ないとはいえ、宝くじの当選金はどうでしょうか。宝くじはさまざまなタイプが販売されており、代表的なジャンボ宝くじにロト7などの数字選択式のどれもが非課税となっています。宝くじは購入時に約40%が地方自治体に分配されていますので、購入するときにはこちらのほうが多く取られています。

ただし、当選金は万馬券よりも当たりづらく、高額になればなるほど天文学的な数字ですので、実際に競馬のほうが的中しやすいのは間違いありません。こうなると、年間の累計金額では宝くじよりも競馬のほうが多く国の歳入になっていることがわかります。

宝くじは当たりにくいものとして、競馬は安い配当でも積もれば税金として持っていかれるという矛盾が本当におかしいといえるでしょう。

一方でパチンコはどうでしょうか。多くの人が夢中になっているパチンコは20兆円産業として国民に人気のある娯楽です。実はパチンコの換金は一時所得になってしまうのです。パチンコは毎日でも通う人もいるでしょうから、年間で累計すると50万円を超えることも珍しくありません。しかし、パチンコの勝った分に該当する投入玉がいくらになるのか、という計算はほぼ不可能に近いので、実際のところ確定申告をすることはないでしょう。

まとめ

競馬にかかる税金はおかしいということがお分かりでしょうか。馬券購入時には国庫納付金があり、払戻金には累計学で一時所得になりながらも、外れ馬券は控除対象外という始末。これでは競馬ファンが離れていくことにつながるのも目に見えてしまいます。

この制度は税金がからんでいるので、なかなか解決への道のりは遠いものです。競馬にかかる税金がおかしなものとはいえ、払戻金で50万円を超えたら税金がかかるということは覚えておいて損はないでしょう。