競馬で即PATを利用したら税金の申告は必要? 税務署にバレるのか

競馬・税金

競馬で馬券を購入する際、競馬場やウインズ以外に即PATなどのインターネットや電話投票を利用している人も少なくありません。特にコロナウイルス感染拡大防止のため、無観客競馬を実施している最中は、紙の馬券を手にすることができません。これは今後も同様のケースが起きたときにもいえることでしょう。そこで多くの競馬ファンがPATに加入しており、手軽な即PATは人気を博しています。しかし、この即PATでは払い戻しにかかる税金の申告がバレてしまうことが懸念されます。ここではなぜ即PATが申告しなくてはいけないのか解説していきます。

インターネットで馬券を購入するのが即PAT

そもそも即PATといわれてもいまいちピンとこない競馬ファンもいることでしょう。馬券を購入するのは基本的に競馬場と場外馬券場(ウインズ・エクセル)という人にはあまり馴染みがないともいえます。

馬券を買えるのは他にもインターネットで投票する即PAT、電話投票のA-PAT、クレジットカードで購入するJRAダイレクトがあります。A-PATは利用開始までに数か月かかり、専用口座も特殊で通常の振込作業などができないデメリットがあります。

JRAダイレクトは指定のクレジットカードで馬券を購入できるので、急な現金がない場合には重宝できますが、利用金額や購入回数に制限があるのがネックといえます。

一方で即PATはJRA指定の銀行口座があればすぐに利用可能で、ジャパンネット銀行や楽天銀行などのネット銀行も利用可能です。即時入金もできますし、地方競馬の馬券も即PATで買うことができます。発走時間ギリギリの予想となっても即時入金やペイジー入金も可能です。

すぐに馬券を購入したい競馬ファンにとって利便性に優れたのが即PATといえるでしょう。

履歴が残り過ぎる不安点

利点が多い即PATですが、馬券を購入するときには当然ながらネット上に履歴が残ってしまいます。銀行口座の入出金履歴にも払戻金の振込履歴が残りますし、JRAで馬券購入用に出金したことも残ってしまいます。また、PAT会員用の専用ホームページであるClub JRA-NETでは年間の投票履歴が確認できるので、自分の払戻金額や購入金額、回収率と的中率まで分かります。

これだけ素晴らしいシステムのJRAのインターネット投票ですが、払戻金で税金がかかることをご承知の方なら怖いシステムともいえます。年間50万円以上の累計払戻金には一時所得がかかりますので、ものの見事に対象となっているかすぐに判明してしまいます。

また、万馬券の的中も別途照会しているので、自分は当たっていないとシラを切ることができません。とはいえ、こちらから申告しない限りは税務署にバレないと思い込んでしまう人も多いでしょう。しかし、実際には税務署にバレないのではないことを次にみていきます。

即PATは税務署にバレるのか

バレるかバレないかは別として、即PATの履歴は当然ながら税務署でも把握できます。Win5で数千万円の馬券を的中させた場合、銀行口座にその金額が入金されます。これで何か大きな買い物を購入したりすると、その資産をどのように手に入れたのか、銀行に入金された経緯は何なのか、税務署の目に留まれば徹底的に調べられます。

もちろん、基本的に税務署は個人の銀行口座を把握しているわけではありません。日本国民全員の口座を把握するなんてことは、はっきりいって調査に割く人手が足りなさ過ぎます。税務調査で必要のときに金融機関の口座を調べることはありますが、ほとんどは相続税に関するときだけといえます。

年収が高くて多額の税金を納めているような資産家は国税庁のターゲットになっているでしょうから注意が必要ですが、一般的なサラリーマンで競馬を趣味で楽しんでいる程度の人ならターゲットにもされないでしょう。

とはいえ、納税は国民の三大義務です。申告漏れになると追加で税金を徴収されてしまう恐れがあります。自分は大丈夫とはいっても、年間を通しての払戻金における利益ですから、申告義務が生じる金額に到達することも考えられます。申告しておけば少ない納税で済んだのにと後になって後悔することになりかねません。

しかし、すべての人が払戻金で50万円を超えて確定申告しないと税務署にバレるのかといえばそうでもありません。税務署も限られた人員で動いており、その多くは申告漏れが高額になりそうなところを狙っているともいえます。全国の競馬ファンの年間払戻金を調べれば、実際にかなりの人数が確定申告の義務が生じているはずです。

すべての申告漏れを指摘すれば競馬ファンも減ってしまい、国庫納付金も減少する

しかし、ほとんどの人は申告漏れや脱税する自覚がないままといえます。これは払戻金以上に外れ馬券が多くなっているからといえます。年末の有馬記念で的中でもしない限り、手元に残る金額がほとんどないので払戻金額が50万円を超えていることに気づかない人がほとんどでしょう。

しかも、その有馬記念で50万円を超える的中馬券はそう狙えるものでもありません。さらに有馬記念で大勝ちしても、最終レースや大井競馬の東京大賞典につぎ込んで手元に残ったお金がほとんどないというケースもあり得ます。長年競馬をしている人からすれば、先に50万円の的中があれば、外れ馬券が増えてそのまま吹っ飛んでしまうことは珍しくありません。

この外れ馬券は購入時に国庫納付金として国に収められます。いわば税金のようなイメージです。もしも、税務署が即PATで馬券を購入したすべての国民の払戻金を自動で調査できたとします。

その場合、いちいち年間の払戻金を計算して確定申告に出向かなくてはならず、的中馬券の購入代金しか経費を認めない現行法では、多くの人が憤りを感じて競馬から遠ざかることが考えられます。

こうなると、年間で約3千億円ともいわれるJRAの国庫納付金が一気に減ってしまう恐れがあり、確定申告の一時所得で得られる所得税と比較しても、今後の競馬ファンが減少傾向にあるほうが国の税収は下がっていきます。

このことからも税務署は丸っきり手を付けないとはいかないまでも、人手が足りない問題もあって、すべての払戻金に対して税務調査をすることは考えにくいといえるでしょう。

即PATは前年比5倍の加入者増で税務署に注目される?

税務署にバレないかもしれないと先述しましたが、実際には安心できません。新聞各社でも報道されていますが、新型コロナウイルスによる無観客競馬にともなって競馬場やウインズでの馬券販売が休止となり、その影響もあってインターネットでの即PAT加入者が前年比約5倍増という結果になっています。

それだけ競馬ファンが馬券を買うのを楽しみにしていることがうかがえます。この即PATは利用しやすい点があるので、ついオッズもみずに馬券を購入することがあれば、自分の意思と反して高額な万馬券やWin5の的中も夢ではありません。

多く馬券を購入する機会が増えれば、その分だけ高額的中の可能性も少なからずあり得ます。加入者が増えれば、その分だけ年間の払戻金を多く受け取る人も増えるはずです。税務署からすれば、履歴を調べることが容易で税金を徴収できるかもしれないターゲットが増えるわけですから、加入者が増えている即PATに注目することは想像できます。

まとめ

馬券を購入するのにとても便利なインターネット投票の即PATですが、購入した金額や万馬券の詳細、年間の馬券履歴などから、年間を通していくら払戻金を得たのかが簡単に分かってしまいます。

払戻金には年間50万円を超えると一時所得の確定申告をしなくてはなりませんが、税務署もすべての払戻金を調査するのは到底不可能であり、申告を指摘されると競馬ファンが離れて購入馬券の国庫納付金が減少するのを避けたいものです。

しかし、納税は義務といえますので累計払戻金をきっちりと把握して確定申告をすれば、ビクビクしながら申告漏れを指摘されないか不安な日々を過ごすよりも、安心して競馬ライフを満喫することができます。