競馬の税金における裁判を考察! どうしたら雑所得になるのか

競馬・税金

競馬と切っても切れない関係なのが税金です。高額の払戻金には大きな税金を徴収されてしまいます。中でも税金の指導に入る国税庁では競馬の払戻金は外れ馬券を経費にできる雑所得ではなく、的中馬券しか経費にできない一時所得にあるとして考えています。多く経費にしたほうがいいに決まっているので、何度か裁判沙汰にもなっていますが、ここでは競馬の税金に関する裁判の判決を考察していきましょう。

競馬の税金はどうして裁判になるのか

競馬の税金は二重課税ともいわれており、馬券(勝馬投票券)には10%の国庫納付金がJRAから国に納付されています。馬券の購入には消費税がないですし、JRAの管轄は農林水産省なのである程度は仕方ないともいえます。しかし、自分が予想して的中させた払戻金にまで税金(所得税)がかかるのは到底納得できない話です。

宝くじは非課税なのにどうして公営ギャンブルだけは当選金(払戻金)に税金を取るのか、これは長年言われ続けてきましたが、一向に解決されません。

その中で経費にできる要素があればまだしも、一時所得には外れ馬券が経費にならないとしているのです。これでは的中した馬券の点数のみだけになるので、控除される金額が少なくなってしまいます。

このような背景があるので、多くの競馬ファンは確定申告していないケースがほとんどでといえます。税務署が申告を厳しくすると競馬ファンが離れてしまって国庫納付金にまで影響が出かねませんから、なかなか浸透しないといえるでしょう。

まれに高額払戻金を手にした人も税金を支払うことが頭に入っていないと申告漏れを指摘されてしまいます。追徴課税になると税金を上乗せして納付しないといけなくなるので、外れ馬券を経費にできるよう雑所得扱いにするべきだとして裁判が行われています。

2015年の裁判では申告漏れで5億円もの追加徴収

2015年に大阪で起きた競馬の税金に関する裁判では、独自の競馬予想ソフトを使って収益を繰り返していき、最終的には1億6千万円もの黒字化を果たしていました。競馬で億を超えるなんて想像もつきませんが、回収率も100%を超えているので非常に優秀な予想ソフトを作成したといえるでしょう。

ただ、こちらの男性は高額の払戻金を得たにも関わらず、確定申告をしていなかったので、所得税法違反として大阪地検特捜部に起訴されています。このとき申告漏れと指摘された所得税は5億円を超えており、明らかに一時所得として扱われました。

男性側は当然継続性のある利益として雑所得を主張します。検察側は競馬の払戻金は一時所得として扱うべきであると双方の主張が分かれました。このとき、大阪地方裁判所では被告側の訴えを認め、競馬ソフトを使用して購入を続けたのは営利を目的とした所得であると判断し、雑所得であることを判決しました。

この結果、外れ馬券も経費として認められたので、男性は1/10となる約5,000万円の追徴課税だけを支払うようになりました。その後、高裁や最高裁でも同様の判決となり、男性は営利目的の継続的な馬券の購入において画期的な判決を導きだしています。

2017年には自動ソフトを使わずに雑所得と認められる

2017年では北海道の男性がきちんと確定申告をしていましたが、外れ馬券を経費として計上したため、国税庁から約2億円にもなる追徴課税を言い渡されました。こちらも男性側が到底納得できないとして裁判になっています。

こちらの男性はネットから馬券を購入していたものの、先述の男性のように競馬ソフトを使わず、独自の予想理論を駆使して継続的に馬券を購入していました。そのため、東京地裁では自動プログラムで購入したものではないので、一般的な競馬ファンと変わらないと判断されたのです。

一方東京高裁では、先にあった2015年の例と照らし合わせて、機械ではないものの、継続して独自ながらも利益を上げる仕組みを活用していることから、雑所得に当たると判決されました。

一審・二審と逆転して注目を集めた最高裁では、男性が回収率100%を超えるように馬券を選別して購入してきたので、一連の行為は営利を目的としていることを認め、男性に雑所得の判決を下しました。

最高裁で二度に渡り雑所得の判決が出た上、2017年のケースでは自動ソフトを用いずに購入し続けたことから、競馬ファンの中では外れ馬券も怖くないという認識が生まれてきています。しかし、この裁判にまで発展したケースはあくまでも例外であり、基本的には一時所得であることに注意が必要です。

必ず雑所得になる訳ではないことに気を付けたい

2015年と2017年ではどちらも営利を目的とした継続性のある馬券購入として雑所得を、認められています。その手段は競馬ソフトや自分の予想でも大丈夫となります。

しかしながら、毎回雑所得となる訳ではありません。国税庁では競馬ソフトのような機械的な購入方法の場合のみ雑所得になる可能性があるとしています。これらのケースはあくまでもレアであり、競馬の払戻金についてはこれまで通り一時所得とすると考えています。

では競馬予想プログラムを用いて高額の利益を出した2018年の裁判を見てみます。

こちらでは横浜市の男性が2009年から2010年の中で5,000レース以上の馬券を2億8千万円で購入して、約3億円の払戻金を手にしました。競馬予想プログラムにすべてを任せず、自分の判断も取り入れていました。この結果、地裁では購入規模が大きいものの、自身の予想を取り入れていたことから他の競馬愛好家とそん色がないと判断されてしまい、一時所得に該当すると判決を下しました。

男性は控訴したものの、高裁と最高裁も地裁を支持し、雑所得とはなりませんでした。この判決は競馬ソフトを使って購入したものの、自分の判断を加えていたことで競馬ファンの買い方と変わらないと紐づけられてしまった点がポイントです。

また、赤字の年もあったので、雑所得として継続性のある事業に該当するとはいえないのが実情といえるでしょう。常に回収率100%を狙うことが大切といえます。

継続性のある事業として成立させるにはやはりプラス収益を続ける仕組みを作らないといけないことになります。

そもそも高額の払戻金を得ないことには国税庁も動かない可能性があるので、億単位の払戻金を得ないと雑所得にはできないのでしょうか。実はそうではありません。継続性のある利益を作っていたら事業として成り立つと裁判所は認める判決を出しています。

数千万円の払戻金でも雑所得になる

2019年に高松市の男性が起こした裁判では、外れ馬券を経費として計上するよう税務署に求めましたが、過去に起きた判例は30億円など高額であり、今回の数千万円という小規模では事業性に当たらないと税務署側が否定していました。

一般的な感覚でいけば、海外の高級車が普通に購入できる数千万円は十分高額になるのですが、税務署はそこを考えずに2012年からの3年間の所得税を760万円と指摘。しかし、東京地裁は金額が少なくても十分営利目的に参入できるとして雑所得を認める判決を下しています。

この結果所得税は修正されて240万円にまで減額されています。このように払戻金の金額よりも継続性があるかないか、安定して100%を超える回収率を保っているかが焦点になるといえます。

まとめ

競馬の払戻金には高額となるケースがあり、外れ馬券が経費になるかどうかで裁判沙汰になることがあります。2015年の判決では自動プログラムを使った外れ馬券が経費と認められ、2017年には自動プログラムを使わない外れ馬券が雑所得になっています。

これを受けて事業として継続性のある営利を目的とした馬券購入に関しては、雑所得として認められる可能性が高くなりました。

ただ、これはあくまでも例外であり、基本は一時所得として扱われるのを忘れないようにしておきましょう。