競馬でなかなか儲けを出すのは難しいものですが、この払戻金は税金の対象となるのをご存知でしょうか。公営ギャンブルは自分のお金で賭けているのにもかかわらず、プラスとなった収益は一時所得の課税対象に含まれてしまうのです。なかなか納得できないと思っても万が一にも申告漏れを指摘されればより多くの税金を持っていかれてしまいます。しかし、いざ申告しようにもどうやっておこなえばいいのか分からない人のために、ここでは競馬の税金の申告方法を解説していきます。
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競馬にかかる税金のほとんどは一時所得
競馬での収益に関して、多くの方はレースに「的中」「外れ」を繰り返していますが、中でも外れ馬券の方が一方的に多いので一時的な収入と見なされます。このように一時的な収入となりやすい競馬は、基本的に一時所得として申告する必要があります。基本的にというのは後述しますが、雑所得の場合があるからです。しかし、ほとんど一般的な競馬ファンは事業のように継続した利益を得ているのではなく、予想が的中して一時的に収益が増えたという人が多いものです。
競馬だけでなく公営ギャンブルはすべて同じですが、手にした払戻金はすべて税金を申告する可能性があります。可能性といったのは有馬記念だけ参加するような1年に1回程度しか競馬をしない人など、あまり大きな払戻金を手にしなければ課税対象とはなりません。
特別控除が50万円
この線引きは50万円という一時所得の特別控除を差し引いた金額が目安になります。長らく会社員などの年末調整でよく見かけた38万円(2020年以降は引き上げとなる)が基礎控除となりますが、これと同じ意味合いを持ち、「50万円までは税金を取りませんよ」ということになります。
もちろん、年に1回のレースでも有馬記念のようなビッグレースの場合は、ボーナス後という人も多いので、賭ける金額も大きくなって的中した場合に払戻金が50万円を超える人も珍しくはありません。
ただ、50万円を超えなくても実は一時所得は年間を通しての収入金額になるので注意が必要です。競馬だけでなく、他のジャンルの公営ギャンブル(競艇・競輪・オートレース)やパチンコの収益も実際に課税対象となります。そんなにすべての収益なんて覚えられないと嘆く人が多いでしょうが、国税庁のホームページには実際に払戻金にかかる内容は詳細をノートに控えるように訴えているのです。
大きな配当は覚えているでしょうが、通常はレースに的中しても年間の収益まで覚えていません。ましてやいちいちノートに控えるなんてことはよほどマメな性格でもない限りやらない人が多いでしょう。
国税庁からのお知らせでは詳細を控えるよう記載
税金を管轄している国税庁では払戻金を受けた方へという名目でPDFファイルをUPしています。競馬は大人になってから始める人が多く、CMなどでも払戻金で確定申告をするようには謳っていませんので、だれかに教えてもらう以外に自分で知ることはほとんどありません。
しかし、国税庁のHPでは一方的なほどお知らせを見るようにしており、わざわざ赤字で払戻金には確定申告が必要となる可能性があると示しています。このお知らせから判断すると、確定申告時に必要となるデータを下記に挙げていきます。
①開催日と競馬場(競輪場・競艇場など)、何レースか
②該当レースでの払戻金額
③該当レースでの馬券購入金額
即PATなどインターネットでの馬券投票をしている人は履歴が残っていますので参照することが可能です。国税庁でもインターネットの画面の写しでも可能と明記しているほどです。
①は馬券が的中すればある程度覚えていることもありますし、払戻金がいくらになったかという②も覚えていても不思議ではありません。これは馬券の的中率が低いものであることを物語っていますが、特に数万円以上の払戻金はなかなか忘れることはできないでしょう。50万円以上ならなおさらです。
ただ、ここまででだれもがふと思うのは、「①と②はまだ分かることもあるけど③は無理だろう」というところではないでしょうか。この③にはからくりがあるので注意が必要です。
的中した購入金額の馬券のみ経費となる
先述の③該当レースの馬券購入金額ですが、いくら賭けたかまでは分からないという人も少なくありません。国税庁ではそのような場合に払戻金(受取金額)とオッズから参照するように述べています。
思わず「えっ!」と驚いた方もいるでしょうが、そこまでして税金を取りたいのが税務署ですので、法律で定められている以上はどうしようもありません。
しかし、ツッコミたくなるのはそこではありません。受取金額に関わる購入金額ですので、払戻金を受けた馬券(要は的中した馬券)に投票した金額のことを指しています。
「なるほど」と唸りたくなりますが、投票した金額をノートなどに控えるのは的中馬券のみということになり、他に外れた馬券は一切対象外となってしまうのです。どう考えても外れ馬券のほうが累計的に多くなりますが、外れ馬券が経費として認められないと支払う税金が増えてしまいます。
一時所得の金額詳細
納得がいかない人もいるでしょうが、次は一時所得の計算式をみていきます。
①払戻金の年間受取額を計算
②払戻金に投票した年間投票額の計算
③①から②を引いて50万円(特別控除)を差し引いた金額を計算
④③に1/2した金額を計算
国税庁のお知らせでも紹介されているように、まずは払戻金の年間累計額(年間受取額)を計算していきます。足し算ばかりになるので、ノートだと大変でしょうから国税庁ではExcelの計算シートを提供しています。
本当に搾り取れる分はしっかりと収めてもらおうとしているのが見て取れますが…。
1年前のレースは除外しておき、当年月初分からのレースになります。中央競馬はだいたい金杯が始まる1月5日前後ですが、もしも正月休みから地方競馬に精を出しているならその分も計上していきます。
次に払戻金で使った実際の投票券を計算していきます。たとえ1回分の投票券であっても、BOXや流しのように的中していない分の投票金額は除きます。的中した式別の馬番(枠番)のみが対象となるので辛いところです。
③では払戻金から投票金額を差し引いており、さらに50万円の特別控除を引いて計算しています。大方の競馬ファンでは50万円以上の払戻累計金額になるとプラス計上になることでしょう。どこかで大勝ちする人が多いので、投票金額よりも回収した払戻金の方が増えているはずです。
④では一時所得の計算式ですので、ここの計算結果が実際に申告する金額となります。
国税庁のお知らせでは注記として、④の計算結果がプラスでない場合などについては確定申告する必要はないとご丁寧に明記しています。当たり前だろとツッコミたくなりますが、このプラスでない場合などの「など」が何か意味深に感じてしまいます。
恐らく例外もあるのでしょうが、国税庁のHPでは調べることができません。ここでは競馬や競輪などの公営ギャンブルの払戻金について記載していますので、懸賞金や生命保険の満期返戻金といった他の一時所得との兼ね合いで変わってくることが予想されます。
確定申告書は国税庁のHPから作成し、ネット送信や郵送で密を避ける
確定申告は税務署で提出しますが、もちろんインターネットでも作成可能です。例年1月中旬には国税庁のHPから確定申告書作成コーナーにアクセスすれば画面の案内に従って簡単に作成できます。
マイナンバーカードを用意すればe-taxでの送信が可能ですが、まだまだ浸透されていないこともあるので、印刷して提出もできます。特に新型コロナウイルスの感染状況がまだまだ不透明でもあり、確定申告シーズンはインフルエンザにも注意が必要です。例年の同時期には税務署に来庁する人が多いので、密を避けるためにも郵送するのもおすすめです。
まとめ
競馬にかかる税金のほとんどは一時所得であり、年間の累計払戻金額を計算しないといけません。経費になるのはこの払戻金にかかった投票金額のみと厳しい条件となっています。50万円の特別控除があるので、基本的には投票金額を引いた50万円以上の払戻金を得た場合に一時所得が生じると覚えておきましょう。
税務署へに確定申告をしなくてはなりませんが、新型コロナやインフルエンザの感染が蔓延する可能性もあるので密を避けるためにもインターネットで作成し、そのままe-taxで送信するか郵送する手段を講じるようにしていきましょう。